- どんな絵本を選んだらいいんだろう?
- せっかく買っても、全然興味を持ってくれなかった…
- 絵本って本当に必要なの?
そんなふうに思った経験はありませんか?
絵本は子どもの成長をサポートしてくれる尊いものです。読み聞かせを通して、親から愛されていることを感じ、安心感を受け取っています。
絵本は、親子の絆を深める大切なツールです。
- 旅するのん
元・保育教諭、フリーランス業。絵本好きで「絵本販売」をしています。詳細はこちらから
では、どんな絵本を選べば豊かな「子どもの心」が育っていくのでしょうか?
私はこれまでに、保育士として多くの子どもたちと接してきました。絵本販売も始めてから6年が経ちました。多くの親が「どの絵本を選べばいいのか、分からない」と悩んでいるのを見てきました。
そこでこの記事では、保育士の視点と絵本販売のオーナーとして、「絵本が子どもの心を育てる理由」と「愛される絵本の選び方」をお伝えします。後悔しない絵本選びのポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
保育士が教える|絵本が子どもの心を育てる理由とは?

子育てに「絵本の読み聞かせ」が大切だということは広く知られていま。実際に絵本がどのような役割を果たしているのか見ていきましょう。
なぜ子育てに絵本なのか?
絵本は、子どもが成長していくうえで大きな役割を持っています。読み聞かせは、子どもにとって「愛されている」という実感やぬくもり、安心を感じます。
絵本を通じて、言葉を覚え、ストーリーを理解し、登場人物の気持ちに寄り添うことで、共感力や思いやりの心も育まれます。
「言葉を覚える」「感情を理解する」といった成長は目に見えますが、子どもの「心」の成長は目には見えないものです。
大切なことは子どもが「どれだけたくさんの絵本を読んだか?」ではなく、「どれだけの愛情を込めて読んでもらったか?」ということです。
絵本は、単なる学びのツールではなく、親子の心をつなぐかけがえのないものです。
絵本が愛情を与える理由
幼い頃、大好きな人から絵本を読んでもらった記憶はありますか?
読んでもらった時のぬくもりや、その人の声のトーン、絵本の内容、安心した気持ちなど。大人になった今でも、ふとした瞬間に思い出すことはありませんか?
誰かが自分のために心を込めて読んでくれた絵本は、一生かけがえのない思い出になっていませんか?
絵本が育む「5つ」のこと
絵本は、子どもの心を育てます。安心感や共感力、想像力を育みます。ここでは、絵本がどのように子どもの心の成長に寄与しているのか、その「5つ」について見ていきます。
1.安心感を育む
親に絵本を読んでもらう時間は、子どもに「自分は愛されている」という安心感を与えています。大人が自分のために時間を使ってくれることで、心は満たされ、情緒が安定していきます。
2.共感力が育つ
絵本の登場人物の気持ちを想像することで、相手の立場に立って考える力が育ちます。共感力や思いやりの心が、自然と身についてきます。
3.言葉と表現力が豊かになる
絵本には、美しい言葉や豊かな表現が詰まっています。繰り返し読むことで語彙が増え、言葉のリズムや響きを楽しむ感性が育ちます。
4.想像力が広がる
絵本の世界に触れることで、子どもの想像力は大きく刺激されます。「もし自分だったら?」と考えることで、物語の世界が広がり、創造力が育ちます。
5.自己肯定感の土台がつくられる
絵本の読み聞かせを通じて、子どもは『自分は愛され、大切にされている』と感じます。その安心感は、やがて自己肯定感の土台となり、心の成長を支えていくのです。
心の成長は目には見えませんが、愛された記憶は確かに子どもの心に根付いていきます。
絵本の読み聞かせを通して、読んでくれる人の愛を感じ、子どもは安心して、絵本の世界に入っていきます。そこから共感の心や、言葉を知っていきます。想像力が広がるのも絵本の力の成せる技です。
絵本が親子の絆を深める理由と、大切な時間

絵本の読み聞かせは、親子の絆を深める貴重なものです。優しく語りかける声、寄り添うぬくもり、ページをめくるワクワク感––これらの体験を通して、子どもの心は満たされ、健やかな成長につながっていきます。
ここでは、なぜ絵本が親子の絆を深めるのか?の理由と、親子にとって大切な読み聞かせの時間がどのように心の成長を促しているのかを見ていきます。
読み聞かせが「親子の絆」を深める
絵本の読み聞かせは、ただ物語を聞く時間ではなく、親子が触れ合い、心を通わせる大切なひとときです。
ひざの上に座る、眠る前に寄り添う、ぬくもりを感じる——こうしたスキンシップを通して、子どもは 自然と「自分のことをわかってくれる人がそばにいる」と 親への信頼を寄せます。それがやがて、揺るぎない 「大人への信頼」 へとつながります。
読み聞かせは、単なる何かの学びではなく、子どもが 「親と子のつながりを感じる大切な時間」 なのです。
絵本を一緒に読むことで生まれる親子の会話
絵本を一緒に読むことで、親子の間に自然と会話が生まれます。
子どもは物語の中で、登場人物の気持ちを想像し、親に「どうしてこのキャラクターはこうしているの?」と質問を投げかけることがあります。こうしたやりとりを通じて、子どもは 「他者の立場に立って考える力」 を育んでいきます。
物語を一緒に読みながら、親と子どもが時間を共有し、会話から共感することで、親子の絆はより深まります。
絵本の主人公が困難に直面した時、親子がその状況を共有し、「どうしたらいいかな?」と一緒に考えることは、 「共感力」 や 「思いやりの心」 を育てる大切な時間です。
絵本の読み聞かせは 「会話の楽しさ」を感じるひとときでもあります。言葉を交わすことで、子どもは自己表現の方法を学び、豊かな感受性を育んでいきます。親と子が心を通わせる時間を持つことで、読み聞かせが 「深い共感と、つながりの時間」 へと変わっていきます。
反抗期も乗り越えられる?ー絵本の記憶が心を支える
幼少期の絵本の読み聞かせは、思春期の反抗期にも大きな力を発揮します。
子どもが成長して、いずれ反抗期を迎えます。そんな時、幼少期に過ごした読み聞かせの時間は、目には見えなくても、心の中でしっかりと支えになっています。
親と過ごした絵本の読み聞かせの時間は、「愛されている実感」と「心のつながり」 を深める貴重な時間でした。
この記憶は、反抗期に入っても、一時的に親との距離が生まれても、「どんな時でも親は自分の味方であり、支えてくれる存在」 という確かな基盤を与えています。
絵本の中で感じた安心感とぬくもりは、一生心に残るものです。時には反抗心を持つ子どもでも、ふとした瞬間にあの温かい気持ちが蘇り、心が落ち着くことがあります。大人になってもその存在を静かに感じることが度々訪れることでしょう。
失敗しない!子どもに合う絵本の選び方

どんな絵本が子どもにとって最適なのか?絵本選びで悩んでしまうことも多くありませんか?
絵の雰囲気や内容、スタイル、言葉の難しさなど、絵本を選ぶべきポイントはたくさんあります。
この章では、目的に合った絵本の選び方や、子どもの年齢、好きな作家別で選べば失敗しないポイントをお伝えします。
絵本のもたらす効果を最大限に引き出すには、どんな絵本を選べば良いのかを知っておくことは大切なことです。
目的別|内容による絵本の選び方
絵本はただ読むだけではなく、子どもの成長をサポートする大切な役割を持っています。目的を持って絵本を選ぶことで、効果的に学びや心の成長を促すことができます。ここでは、子どもに合った絵本を選ぶための目的別のガイドラインをご紹介します。
心を育てる絵本(感情や想像力を育む)
感情や想像力を育む絵本は、子どもの感受性を豊かにし、共感力や思いやりの心を育てる力があります。
登場人物が勇敢に立ち向かうストーリーや、心温まる感動のエピソードは、子どもに気持ちや感情を理解するための手助けをします。ファンタジーやおとぎばなしなど、非現実的な世界を描いた絵本では、子どもの想像力を育ててくれます。
選び方のポイント
- 登場人物が感動的な経験をするストーリー
- 想像力が広がるファンタジーな作品
- 感情を言葉に表す場面が多い作品
おすすめの絵本
『おおきな木』( シェル・シルヴァスタイン 作)
この絵本は、無償の愛と、親から子に向けた大切な思いが描いてあります。これを読んで大切な人のことを思わない人はいないでしょう。感情や思いやりを育む絵本です。子どもの成長とともに変わる親子関係や、愛の形を感じることができ、共感力を養うことができます。翻訳者もほんだきんいちろうさんと村上春樹さんの2人います。読み比べても楽しめます。
『しろくまちゃんのほっとけーき』 ( わかやま けん 作)
優しい絵と温かいストーリーが心に響く絵本です。子どもたちは、食べものが出てくる絵本が大好きです。しろくまちゃんが作るホットケーキを見て、そこに本当にあるかのような目をしてワクワクしながら焼けるのを待っている子も多いです。「ふらいぱんに、ほっとけーきのたねを、ぽたあんとのせて」ーー美味しそうなホットケーキができあがります。
知識を深める絵本(学びにつながるもの)
子どもが世界を理解し、知識を得るきっかけを作ります。「動物」や「植物」、「歴史」や「文化」についての絵本や児童書は、楽しみながら学べる内容が詰まっています。
イラストを見ながら学ぶことで、子どもは日常生活に役立つ知識を自然に身につけていくのです。
子どもが興味を持っているテーマを選ぶと、その子の好奇心を引き出し、今後学ぶことが楽しくなるでしょう。
選び方のポイント
- 知識を深めるための具体的なテーマ(動物、天気、宇宙など)
- 視覚的に、情報が整理されたレイアウト
- 子どもが自分から質問をしたくなる内容
おすすめの絵本
『宇宙』( かこさとし作)
人気作家のかこさとしさんの作品です。「科学とは世界を理解していくことです。子どもにとっての科学とは、知識を覚える事だけではなく、理解していくこと、「知っている」ではなく「わかった」を大切にして欲しいと思います。覚えさせられるから、子どもは科学や理科を嫌いになってしまいます。その前に「わかる」楽しさを教えてあげませんか。そして子どもの世界を広げてあげましょう。」(出版社・福音館書店より引用)
『Sassyのちいくえほん いろいろ ぱっ』( La Zoo 作)
「アメリカからやってきた知育玩具のSassy(サッシー)。赤ちゃんの発達心理学を研究、五感を刺激し、赤ちゃんの発達を促すおもちゃがたくさん! 例えば…Sassyが多く使う「白」と「黒」。これは赤ちゃんが一番先に認識する色と言われており、0カ月からのおもちゃによくつかわれ、そのキャラクターとグラフィックは、赤ちゃんの目を通して、心と脳の発達をうながします。」(Sassy/DADWAY:Sassyから引用)
楽しく読める絵本(ワクワクや笑いを楽しむ)
絵本の中には、単純に楽しく、韻を踏むようなもの、リラックスできるものがあります。
ワクワクするような冒険や、笑いを誘うストーリーは、読書が楽しい時間だと感じさせ、絵本に対する興味を持続させてくれます。リズム感のある言葉や繰り返しのフレーズが多い絵本は、楽しいだけでなく、言葉を覚える助けにもなります。
選び方のポイント
- リズムや繰り返しのある言葉
- 明るく楽しいイラストと色使い
- 軽快なストーリーやユーモアがある内容
おすすめの絵本
『ぐりとぐら』 (中川 李枝子、山脇 百合子 作)
保育士だった作家さんの人気作品です。繰り返しのフレーズと、ユニークなキャラクターたちが楽しい冒険を繰り広げる絵本です。リズム感があり、何度でも繰り返して読んであげたくなる一冊です。笑いとワクワクが詰まっています。「ぐりとぐら」のシリーズも出ています。
『ノンタン ぶらんこのせて』 (キヨノ サチコ 作)
元気で楽しいノンタンが登場する絵本シリーズ。簡単でリズミカルな言葉が、子どもをワクワクさせてくれます。繰り返し遊びのストーリーが楽しく、子どもが飽きることなく何度でも楽しめる人気の絵本です。「ノンタンあそぼうよ」は、全23巻です。
年齢別|子どもの成長に応じた絵本の選び方
絵本は子どもの成長に合わせて選ぶことも大切です。年齢ごとに子どもの興味や発達段階が異なるため、それに応じた絵本を選ぶことで、子どもの心や知識を豊かに育むことができます。
年齢ごとに心に響く絵本の内容や、絵本がもたらす効果は異なります。ここでは、年齢別の特徴とおすすめ絵本を紹介します。
0〜2歳: 視覚と聴覚を刺激する絵本
この年齢の子どもは、まだ自分の気持ちを言葉にして話すことはできませんが、視覚や聴覚は確実に発達しています。
カラフルで大きな絵や、シンプルなストーリーが特徴の絵本が最適です。リズムや音の出る絵本を使うと、子どもの聴覚を刺激し、興味を引きます。
おすすめ絵本
『いないいないばあ』(松谷みよ子 作)
簡単なストーリーと繰り返しの「いないいないばあ」で、赤ちゃんが喜ぶ一冊。ブックスタートとして初めて選ぶ絵本に最適です。
『ごあいさつあそび』(きむらゆういち 作)
シンプルな言葉と心温まるリズムが魅力の絵本です。このシリーズは、日常のマナーやごあいさつについても描かれています。少しずつ大きく成長する段階で、この絵本はそっとこの世界の礼儀を教えています。赤ちゃんの手にも持ちやすいサイズで、かなり丈夫な厚みがあります。子どもが手で触ってもかんたんに破れないことも考慮されているようです。
3〜5歳: 自分を表現する力を育てる絵本
この年齢になると、子どもは言葉を覚え始め、感情を表現する力が育ってきます。
絵本のストーリーも少し複雑になり、登場人物の感情や状況に共感しながら、心の成長を促す内容が適しています。
色々な登場人物が登場する物語や、冒険の絵本がおすすめです。
おすすめ絵本
『どうぞのいす』(作:香山 美子絵:柿本 幸造)
「思いやり」というテーマもさることながら、やさしい言い回しの文章とほのぼのとしたイラストが、この絵本の世界観をさらに暖かいものにしている。リズミカルなくり返しの文章は読み聞かせに最適で、4.5歳からが対象とはなっているものの、もう少し年齢の小さな子どもでも十分に楽しむことができるに違いない。親子そろって優しい気持ちになれるロングセラー絵本である。(小山由絵さんの言葉から引用しています)
『三びきのやぎのがらがらどん』(作:(ノルウェーの昔話)絵:マーシャ・ブラウン
訳:瀬田 貞二 作)
勇敢なやぎのがらがらどんのお話し。谷川で待ち構える鬼のトロルを、迫力満点のリズミカルなセリフまわしで、メチャクチャにやっつけてしまいます。ーー緊張で始まりますが、話の後半では、子どもの目がキラキラし始めます。
6〜8歳: 思考力を育む絵本
この年齢になると、ストーリーを理解する力や、論理的な思考力が発達してきます。
少し長めの物語や、選択肢を考えさせる内容の絵本を選ぶと、子どもの思考力を引き出せます。問題解決の過程や考える力を養う絵本が効果的です。
おすすめ絵本
『エルマーのぼうけん』(ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳))
子どもにもわかりやすいノスタルジックな雰囲気が良いです。大人でもおもしろく読めますし、子どもに読み聞かせても楽しめる作品です。エルマーシリーズは子供の夏休みの読書用にも適しています。
『おじさんのかさ』(佐野洋子 作)
ロングセラーの絵本です。大切な傘をテーマに主人公のおじさんの気持ちの変化が見どころです。「雨が降ったらポンポルロン、雨が降ったらぴっちゃんちゃん」。ーー雨の日に傘をさすと子どもが自然とつぶやきます。
9歳以上: 深い思索を促す絵本(児童書)
この年齢になると、子どもは物語に深い意味を見いだしたり、自分の考えを持つようになります。
テーマが深い絵本や、社会性や哲学的な内容に触れることで、思考力が高まり、感受性も豊かになります。自己探求の一環としての絵本選びが重要です。
おすすめ絵本
『ネコのタクシー』(南部 和也 (著), さとう あや (イラスト))
ネコのトムを通して、社会の中で生きるとはこういうことなんだとしみじみ考えてしまう本です。笑う場面もあって絵もかわいくて、親子で夢中になれます。この年齢になると1人でも読めるようになってきます。
『ルドルフとイッパイアッテナ』(作: 斉藤 洋 絵: 杉浦 範茂 )
大人が読む本のページ数くらいの長さです。年長さんから10歳くらいまでが対象ですが、大人でも夢中で読める内容です。親から子どもにうまく伝えられないことや、友情についても、生きる上での話がたくさん書かれています。この年齢になると、親から子へ伝えたいことを「本」が助けてくれるようになります。
年齢に応じた絵本を選ぶことで、子どもの興味を引き出し、成長に合わせた学びや発見を楽むことができます。
作家別|人気の絵本作家を選べば失敗しにくい!心に響く絵本
絵本選びに悩んでいるならば、人気の絵本作家さんの作品を選ぶと失敗しにくいです。絵本作家さんは、子どもの心に響くストーリーやメッセージを伝える力があります。
その作品は多くの人に長く愛されています。心に残る絵本を選ぶために、ぜひ覚えておきたい絵本作家さんをご紹介します。
子どもを惹きつける絵本作家たちの魅力
子どもには、それぞれ好みがあります。「絵本なら何でもいい」というわけではありません。幼い子どもは「自分の気持ち」を大人に伝えることは難しいものです。
「この子は宇宙が好きだから」と親が宇宙をテーマにした絵本を選んでも、必ずしもそれが子どもにとってお気に入りの一冊になるとは限りません。同じテーマの絵本でも、作家さんによっては子どもへの響き方が違っています。
人気の絵本作家さんたちは、子ども心をよく理解しています。自分が子どもだった頃の気持ちをいつまでも持ち続けている素敵な絵本作家さんたちばかりです。
絵本販売をしていて人気の絵本作家さんを紹介します。
どいかやさん
かこさとしさん
島田ゆかさん
馬場のぼるさん
絵本選びで注意すべきポイント
目的別、年齢別、作家別で選んできた絵本ですが、では、どうやってその子にぴったりの絵本を選べば良いのでしょうか?
下記のような、日頃からその子の様子を見ることが大切になってきます。
- 子どもの興味を観察する
普段どんな遊びをしているか、何に夢中になっているかをよく見る - 絵本を一緒に読んで反応を見る
興味を示したら、そのジャンルの本を増やしてみる - 読み聞かせの時間を大切にする
「読んでもらう」体験そのものが、子どもにとって大切な記憶になっていく
このプロセスを通じて、子どもは「自分のことをわかってくれている」と感じます。その積み重ねが、親子の信頼関係を深めるのです。絵本選びも、小さな子どもの心にとって、深く思い出を刻み込んでいることを知っておいてください。
絵本販売で気づいた、選ばれる絵本の共通点
絵本販売を始めて、6年の月日が流れました。その間、購入者の方とはたくさんのやり取りをしました。その声から、多くの気づきを得て、たくさんの知識が身につきました。
絵本購入後に、子どもの反応を教えてくれるお母さんがいます。子どもの心をよく分かっているようです。絵本販売を続けていて、その声が私に届けられることは、喜びややりがいを感じる時でもあります。
実際に売った絵本から見る、中古絵本が選ばれる理由
私は、中古の絵本販売をしていて、売れる絵本を知っています。もちろん売り方も知っています。
中古絵本に、「綺麗さ」や「清潔さ」、「見栄え」を求める人がいます。もちろん正解です。
昨今、絵本の値段が上がっています。
どんな絵本を与えれば、子どもは喜ぶの?
たくさんの絵本を選びたいけれど…、でも予算は限られています。
そういう方が、私の販売している「中古絵本」を購入されます。
出品前の検品
出品をする前の検品時に、絵本の装丁や中身を確認します。
絵本を大切に扱うことは大事です。
しかし、読み聞かせをしているうちに「使用感」はどうしても出てしまうものです。
その絵本を通して、前の持ち主だった子どもたちの様子が目に浮かびます。その子の思い出の足跡のようなものです。中古の絵本を見ていると、そうしたおもしろさがあります。
購入者の声でわかる、心に響く絵本とは?
「心に響く絵本」とは、結論から言うと、何度も「読んで!」とせがまれる絵本です。
内容をすべて覚えるくらい読んでも、「また読んで」と持ってきます。他に新しい絵本をすすめても、「こっちがいい!」と持ってくる——そんな絵本は、子どもの心に深く響いています。
「泣いた赤鬼」「100万回生きたねこ」「モチモチの木」など、日本中の子どもたちに愛される絵本は、何十年経ってもその魅力が色あせません。
保育士の「絵本屋さん」厳選|本当に良い絵本の選び方
絵本が大切な役割を果たすことは、多くの方が実感されていると思います。
私は元保育士として数多くの絵本に触れ、現在も絵本を販売しています。その経験から、心に残る絵本は、子どもにとって宝物になっていることを実感しています。
絵本を通じて、子どもは感情を学び、想像力を育み、世界を広げていきます。
ここでは私の視点から、子どもの成長をサポートする厳選絵本をご紹介します。
長く愛される絵本の特徴「6つ」
1. 普遍的なテーマとメッセージ
絵本には、友情や勇気、愛や思いやりといった普遍的なテーマが多くあります。これらのテーマは、子どもが成長する過程で学び、実生活に役立つ大切な価値観を教えてくれます。
子どもたちに社会で生きていくための大切なメッセージを伝える絵本を選ぶことは、今後の人生に大きな影響を与えると考えています。
例えば、『ぐりとぐら』や『おおきな木』などは、どの時代でも変わらず子どもたちに愛され、教訓を与えている名作です。
2. 繰り返し読んでも飽きない内容
子どもは繰り返し同じ絵本を読んでほしがります。繰り返し読むことで、物語に親しみが湧き、登場人物や情景に感情移入しやすくなるからです。
このような絵本は、物語のリズムや言葉の使い方が心地よく、子どもが自分自身のペースで理解を深めることができます。子どもが何度も読みたがる絵本を選んであげることで、子どもの心が安定し、安心感を得ることができます。
3. 感情を育む要素
絵本は、子どもが自分の気持ちや感情を理解し、表現する力を育むツールとして非常に重要です。感情の起伏や他者との関係性を描いた絵本は貴重なのです。
感情をテーマにした絵本を選ぶことで、子どもに共感や優しさ、思いやりを教えることができます。絵本を通じて、心を育み、他者とのつながりを大切にすることを学びます。
4. 絵と文章のバランスが良い
絵本の魅力は、絵と文章のバランスにあります。絵が文章を補完し、文章が絵を引き立てることで、物語に深みが生まれます。
子どもたちにとって視覚的にも楽しめる絵本を選ぶことが大切です。色彩やデザインが子どもの感性を刺激し、物語がより一層印象に残ります。絵と文章が一体となって物語を作り上げる絵本は、何度読んでも新しい発見があります。
5. 教育的価値がある
良い絵本は、単に楽しむだけでなく、教育的な価値もあります。数字やアルファベット、色や形といった基本的な学びから、道徳的な教訓まで、絵本は子どもの成長に欠かせない学びのツールです。
学びを深める絵本を選ぶことは、子どもの知的好奇心を刺激し、社会性を養う助けになります。学びを楽しむことができる絵本は、子どもにとって最高の学びの場となります。
6. 親子の絆を深める
読み聞かせの時間は、親子の絆を深める大切な時間でもあります。絵本を通じて、親と子が共に過ごす時間は、愛情や信頼を育む貴重な瞬間です。
保育士としては、絵本の読み聞かせを推奨していて、親子で一緒に読むことで、子どもが安心感を持ち、情緒的な成長を促進します。また、親子で同じ本を読んで共感し、会話をすることができるため、親子のコミュニケーションが自然に育まれます。
長く愛される絵本には、普遍的なテーマや感情を育む要素、繰り返し読んでも飽きない内容、絵と文章のバランスが取れていることが共通しています。
本当に良い絵本を見極める3つのポイント
絵本を選ぶポイントは、物語の内容だけでなく、その絵本がどれほど子どもに影響を与えるかという点を考慮します。長く読み続けたくなる絵本は、ただ楽しいだけでなく、子どもが感情を理解したり、他者と共感したりする力を育むものです。
- 良い絵本の見極め方
- ・子どもが何度も読みたがる
・親も一緒に楽しめる
・言葉や絵に引き込まれる
おすすめ!心を育てる名作絵本3選
- おおきなかぶ
- ねずみくんのチョッキ
- 100万回生きたねこ
1.『おおきなかぶ』 by A. トルストイ
この絵本は、協力の大切さを教えてくれる名作です。家族や仲間が力を合わせて問題を解決する姿が描かれ、子どもたちは「みんなで力を合わせればできるんだ!」ということを学びます。また、絵本の繰り返しの言葉や、リズム感が楽しく、子どもたちの心を自然に引き込みます。
2.『ねずみくんのチョッキ』 (なかえよしお作)
この絵本は、「やさしさ」と「友情」の大切さを伝えてくれます。ねずみくんが、自分の大切なチョッキを他の動物たちに貸してあげる姿がユーモラスに描かれています。絵本のイラストもとても可愛らしく、子どもたちに優しさを伝える一冊です。
3.『100万回生きたねこ』 (佐野洋子・作)
100万年も しなない ねこが いました。100万回も しんで,100万回も 生きたのです。そのねこが本当の愛を知ります。その時、このねこはどうなるのでしょう。最後までどうなるのか目が離せません。
私は「本当に愛されている絵本」を厳選し、絵本販売をしています。それは、子どもたちに「ホンモノの絵本体験」をしてほしいから。中途半端な選び方をして、がっかりさせたくないし、期待を裏切りたくないのです。
子どもは、大人が思う以上に親や周りの人の気持ちを感じ取っています。だからこそ、本当に心を込めて選んであげた絵本は、子どもの心に届きます。
絵本選びは、単なる買い物ではなく、親子の絆を深める大切な時間へとつながります。そのお手伝いができることを、私は心から嬉しく思っています。
子どもの心を育てる絵本の選び方〜まとめ〜
多くの親が「子どもに、どの絵本を選べばいいのか分からない」と悩んでいます。
今回お伝えした、目的別、年齢別、絵本作家別を基準に選ぶことで失敗を減らすことができます。絵本選びが分かれば、絵本を読む時間が増えて、親子の絆も深まります。
絵本選びに迷ったときは、まず 「親子で楽しめる内容」「子どもの年齢や好みに合わせる」「作家で選ぶ」 の3つを意識しましょう。
私たち大人が、好きな「映画」や「本」、「音楽」など人によってそれぞれ好みがあるように、絵本も「その子に合っているかどうか?は、何より大切です。
良い絵本を選ぶためのポイント(おさらい)
- 絵本は「愛されている」という感覚を育てる
- 子どもの好みを観察し、ぴったりの本を選ぶ
- 絵本作家の作品は、子どもの心をつかむ工夫が詰まっている
- 親子の信頼関係を築き、一生の思い出になる
- 妥協せず、本当に価値のある絵本を選ぶことが大切
子どもの心を育てる絵本選び、一緒に楽しんでいきませんか?